法運用の限界

 現在、違法麻薬に指定されている化学物質と化学式が非常に良く似ているが違法麻薬には指定されていない薬物(デザイナーズ・ドラッグ)を意図的に作り出したり、向精神薬取締法で購入が規制されている向精神薬を精神病治療と偽って入手した精神治療薬が密売され、麻薬的に使用される(違法ドラッグ・脱法ドラッグなどと呼ばれます)という現象が社会問題となっています。
たばこやアルコール飲料については薬理学としては中毒性物質ではありますが、ニコチン依存症やアルコール依存症・急性アルコール中毒という習慣性・常用・乱用に発展するという点で、保健衛生上はドラッグの一種に含む。国内では、違法麻薬に指定されている薬物を麻薬と呼ぶため、たばこやアルコールは麻薬と呼びません。
一方、国も麻薬及び向精神薬取締法に基づき、政令により麻薬指定を進めてはいるものの、指定が化学物質名であることから指定が後手後手になりがちである。
また作用が似ていても化学的構造が少しでも異なれば違法麻薬として法で取り締まることは出来ず、仮にそれらを違法麻薬に指定しても次々と新しい物質が作られるという「いたちごっこ」が続いています。しかし化学的構造や作用が違法麻薬に似ているのであれば、法的には違法麻薬でなくとも危険性は違法麻薬に準じるものと考えられ、実際に健康被害や死亡例の報告もあります。
国や自治体により、生体物質に対して麻薬作用を起こす化学物質の薬物を特定し、それらと似た化学物質と化学式を持つ薬物を一括して違法麻薬として指定するなどの法対策が考えられているが、合成化学研究の障害になるとか、公知が困難になるため、知らずに扱った人が罪に問われかねないなど、問題点もあり、解決には至っていません。